プーチン氏はウクライナ侵略をやめよ

 2月24日、プーチン氏の指示でロシア軍がウクライナ侵略を始めた。あれこれと理由を述べてはいるが、武力で決着をつけようとすることは、国連憲章に違反する行為で断じて許すことはできない。一刻も早く侵略を中止し、ロシア軍を撤退させることを要求する。

 ここに来て、日本国内で憲法9条を攻撃する勢力が、9条では平和を守れないから変えようという世論喚起に必死だが、それに一言しておきたい。事態はまったく正反対だということだ。9条は、仮に不幸にも日本でもプーチン氏のような権力者が出てきたときに、軍事力で物事の解決を図ってはいけないと、大きなブレーキ役になるものだ。集団的自衛権もしかり、憲法9条で行使できないとされている。安倍政権は、内閣法制局長官を変えて、その解釈を変更し、安保関連法を成立させたが、それでも行使は無理筋である。だから、無制限に行使が可能になるように改憲を策している。ウクライナの状態を奇貨として、集団的自衛権行使が防衛に役立つのだと言いたいのだろう。

 しかし、冷静に事態を見つめ直してもらいたい。ソ連が崩壊し、ワルシャワ条約機構も消滅した。にもかかわらず、NATOは存続し、東ヨーロッパに拡大していった。そのことをロシアが脅威として感じることは、無理もない。だからといって、ウクライナを侵略していいとは絶対にならない。ただ、もし、NATOも解体し、それぞれの旧加盟国が、9条のような憲法を持たずとも、徒党を組んでの軍事力による物事の解決ではなく、外交による平和維持を指向していたなら、プーチン氏の言いがかりの根拠はなかっただろう。

 軍事力による問題解決を是とする立場は、相手もそう考えるから相手の軍事力増強を必然とする悪循環に陥る。核兵器の共有論まで主張する元首相がいるが、そんなことを実行すれば、北朝鮮核兵器保有とミサイル発射実験を批判できなくなるだろう。さらに、東アジアに異常な緊張をもたらすことは、明らかだ。また、日本をはるかに追い抜いた中国の経済力を考えると、そこと軍備拡大競争をすることが、どんなに愚かしい選択かということは、国力差を顧みず無謀な日米戦争に突入していった歴史を振り返ってみて、容易に看取されることではないか。「政府の行為によって再び戦争の惨禍」を繰り返さないと誓った日本国憲法の精神がいかに大切か、ウクライナでの戦争を見ていて気づかないわけにいかないのである。人類の正義と平和を求める精神に依拠して、あくまで平和的な国際世論の高まりによって、プーチン氏を包囲し、追い詰め、戦争という手段ではなく、話し合いによって物事を解決するという立場に立たせることである。

 戦争反対。プーチン氏はウクライナ侵略をやめよ。一日本国民として声を上げたい。