賃金が上がらず年金が下がる日本、こんな衰退国に誰がした

 25年間賃金が上がらない国日本。年金も下がる一方。円安も進み、衰退国に成り果てた。これは、明らかに政府と与党の責任。非正規雇用を労働者の4割まで増やし、低賃金労働者を増やした結果だ。年金も賃金リンクさせて上がらないどころか下がる年金となりはてた。国民の購買力が下がり、内需が増えないから、企業の投資も増えない。悪循環だ。雇用の流動化を止め、正社員が当たり前、8時間働けば普通に暮らせる賃金を払えば、内需は拡大し、経済の好循環が生まれる。こんな簡単なことを政府与党は拒んでいる。大企業から政治献金をもらい、財界政治部と化しているからだ。

 今回の参議院選挙、新自由主義と決別するための第一歩とすべき重要な選挙だ。新自由主義を徹底する改革をせよと、政府与党を極右から引っ張るえせ野党の維新が増えたら、さらにとんでもないことになるのは必定。新自由主義からの脱却、これこそが日本経済回復の最良の処方箋だ。立憲民主党共産党社民党、れいわ新撰組の立憲野党は、この旗幟を明確にして大同団結してほしい。自民、公明、維新、国民民主の、現状追随、軍拡、原発再稼働、雇用の流動化促進の翼賛政治はまっぴらごめんだ。

維新の、自民党をピリッとさせるの意味

 維新が「野党」第一党をめざしているそうだ。立憲民主党自民党にできないことをやらせてくれと叫んでいる。その中身は、自民党が公約している改憲などをスケジュールを決めて実行させること、というのだから、さすが本籍が自民党だけのことはある。

 松井氏も馬場氏も、元自民党地方議会議員である。自民党が過激に新自由主義に突っ走らないのを不満に、維新を作っただけのことはある。自公政権の行き詰まりに対する批判を、立憲野党に流れさせないために、「改革」政党をアピールしているが、その改革方向は新自由主義の徹底である。つまり、自民党にもっと右寄りになれと言っているのだ。新自由主義の弊害が明らかになっているのに、それをより徹底させることが「改革」だと言うのだから、維新に期待した国民も浮かばれない。もっと悲惨な結果が待ち受けている。たとえて言えば、新自由主義というタバコの弊害を改めるために、タバコを止めないと行けないのに、より強いニコチンのタバコを吸うことが改革であるというようなものだ。防衛費はGDP比にこだわらず増額、核兵器の共有をタブーなく議論する、雇用は流動化を徹底する、といった政策を見れば、その立ち位置は明確だ。

 このことに早く国民は気づいてほしい。手遅れにならないために。

弱ければ、いじめていいのが自民党

 自民党副総裁の麻生太郎氏が7月4日、千葉県市川市の街頭演説で、ロシアのウクライナ侵攻に触れた上で「子どもの時にいじめられたのはどんな子だったか。弱いのがいじめられる。強いやつはいじめられない。国も同じだ」と述べた。麻生氏は「強そうな国には仕掛けてこない。何発かやり返されると思ったらいじめられない。子どもの時の記憶を思い出してください」とも強調した。(毎日新聞2022年7月5日)

 いかにも麻生氏の言いそうなことだ。だが、2度に渡る世界大戦を経て、軍事力で問題を解決しようとすることは、悲惨な結果しか残さないから、国連のような組織による集団安全保障(「集団的自衛権の行使」ではない)が大切であることを学んだ人類の叡智を、消し去る暴論だと思う。なぜなら、ロシアのプーチン氏や北朝鮮金正恩氏、中国の習近平氏の行っている戦争や軍拡を肯定することになるからだ。麻生氏の論理が正しいとすれば、世界中の国が相手に侮られない軍事力を備えないと自国の安全は保てないということになる。自国がそうしていいのなら、相手国もそうしていいことになる。これは、果てしない軍拡競争になる。コロナ一つ克服できない世界が、気候変動の危機に対処できない世界が、貧困と飢餓を克服できていない世界が、軍拡競争にいそしむなんて、悪夢と言うほかない。

 考え方や体制がちがっても、みんな仲良くしようぜ、戦争だけはやめようよ、という方向に持っていくのが、政治家のつとめではないだろうか。物価が高騰しているのに、賃金上がらず年金は下げる日本。やるべきことをやらず、軍拡をやっている場合ではない。軍事に頼らず戦争を起こさせないための努力を最優先してもらいたい。

 いじめられる子が悪いとのメッセージにもなっていて、児童生徒への悪い影響が心配だ。

生活保護に物価上昇加算を

 物価上昇が止まらない。スーパーやコンビニに行っても、電気ガス料金の請求書を見ても年金生活者として不安が募る。生活保護を利用している人たちや、低賃金でやりくりしている人たちはもっとだろう。史上最速の梅雨明け。連日の猛暑。冷房を適切に使用せよと天気ニュースで呼びかけられているが、大丈夫だろうか。先立つものがなければ、我慢せざるを得ない。が、命に関わる危険な暑さだ。行政は何をしているのだろう。国民・住民の命と健康を守ることが政治の責任だと思うが、このような危機に際して、ぜひとも機敏に動いてほしい。

 それと、消費税減税。これは、みんなが助かる。世界では、コロナ禍から最近の世界的物価上昇に対して、90カ国以上が減税に踏み切っている。ところが、日本政府は頑として拒否している。社会保障財源だからと。だとしたら、先に述べた物価上昇加算を生活保護利用者に支給してほしい。それもせずに、社会保障財源だと言われても、納得できない。加算も減税もしないというのなら、社会保障財源ではないということになってしまう。

 

維新は野党?

 維新の参院比例の選挙政策を見てみた。見出しは「改革。そして成長。」「改革なくして成長なし」とも。自民党ではなく日本を壊した小泉改革のときと同じスローガン。やはり新自由主義を信奉していることが見出しだけ見ても感じ取れる。

 小泉改革で非正規雇用が爆発的に増加し、貧困と格差は拡大した。小泉改革をはさむこの25年間、賃金は上がっていないが、日本型雇用が破壊されたことに原因がある。終身雇用、年功序列、企業内組合が日本型雇用の特徴だが、その雇用の時に経済が高度に成長して、所得も増え、一億総中流といわれる状況が生まれた。円も80円近くの値をつけたこともあった。ところが、1995年の日経連の『新時代の日本的経営』で、雇用の流動化政策が本格化し、非正規雇用が今や労働者の4割を占めるに至った。当然平均賃金を引き下げる重しとなり、賃金が上がらない国になってしまった。正社員も過労死するまでこき使われ、自殺に追い込まれる人も出てきてしまった。年収200万円以下のワーキングプアが増加し、若者は結婚したくても経済的にそれが望めなくさせられた。少子化の大きな要因である。これを根本から改めるには、労働者の権利の保護に政策を切り替えないといけないが、維新の政策にはそれがない。それどころか、「改革なくして成長なし」なのだから、いっそうの雇用流動化や民営化を促進しようとしているのが本音だろう。つまり、日本を停滞させてきた原因である「改革」の徹底を叫んでいるわけだから、さらに地獄に引き込まれることになるだろう。そうなれば、ピンハネで潤う派遣会社経営者や不動産売買、株式投資で儲けた人たちは、万々歳だろうが。

 それを巧みにカモフラージュするのが、「身を切る改革」だ。「議員特権に固執する古い政治家にノー」といって、改革の旗手をアピールしている。しかし、彼らのやっていることは、議員報酬の削減や定数削減だが、維新の議員や首長はお金持ちや経営者が多い。だから彼ら自身は困らないし、生活困窮者には自分たちのために身を切ってくれているかのような錯覚を与える。しかし、共産党を除く全政党にトータルで320億円支給される政党助成金は満額受け取り、廃止することは断固として拒否している。余ってもあの手この手で返還を逃れてため込んでいる。この一事を見ても、報酬や退職金の減額は、カモフラージュに過ぎないことが分かる。定数削減も、多数党に有利で、議会の多様性を排除する少数意見の切り捨てにすぎない。保健所を減らしすぎコロナ在宅死日本一の大阪府・市で、議会でのその責任追及の声が弱いのは、議員定数の削減、多数党に有利な1人区が多いことが、その要因だ。

 ロシアのウクライナ侵略に乗じて、「積極防衛能力」を整備するそうだ。核共有についてタブーなく議論すべだそうだ。一時、GDP比にこだわらず防衛費を増加させるべきだとも主張していた。自民党が2%だから、それ以上の主張だった。憲法が許す範囲の「専守防衛」をやめたら、相手国がどう思うのか、想像がつかないのだろうか。軍事力対軍事力の悪循環を引き起こし、かえって緊張を高めるだろう。また、増税社会保障費の削減で国民生活はいっそう疲弊するだろう。そんなことより、維新も掲げる教育無償化や出産無償化、大胆な減税をしたほうが国民は助かる。しかし、軍事に前のめりだから、本音は社会保障などは二の次なのだろう。社会保障については、「抜本改革。持続可能なセーフティネットを構築」と記しているので、自公の年金カット法に維新も賛成したように、「持続可能」を口実に水準を切り下げるというのが本音なのだろう。

 以上見てきたように、維新の政策は巧妙にカモフラージュされているが、自民党より右の、新自由主義徹底政策が柱になっていると考えざるを得ない。政府予算案には反対しているから野党のように見えるが、自民党をビリッとさせるという党首の発言や、改憲発議のスケジュール化をけしかけたりと、自民党を右に引っ張る機関車役・突撃隊だといえる。今回の参院選で維新が勝つと、日本がさらに右寄りにふれる危険性が高いといえる。国民はどう判断を下すのだろうか。

消費税減税に踏み切れ

 観測史上最速の梅雨明け。6月なのに猛暑。クーラーなしでは生活できない。しかし、電気料金を含め、物価高騰が止まらない。上がらない賃金、下がる年金で、電気料金の支払いが怖くてクーラー使用を控えざるを得ない人々が出てきている。命に関わることだから緊急を要する措置が求められている。こんな時、誰にも恩恵がある物価対策が、消費税減税だ。5%下げるだけで、5%物価下落となる。まだ、それだけでは支援が足りない人々には、別途支援が必要だ。大半の野党が消費税減税を選挙で訴えているが、政府与党は動かない。減税しない言い訳ばかりしている。人の命を何と思っているのか、なんとも思っていないのかがよく分かる。

 賃金が上がらず、年金が下がり、成長できない国になって25年。そこに急激な物価上昇。しかし、そこへは無為無策。政権与党は責任をとらないといけない。国民が選挙で責任をとらせないといけない。そうしないと、国民がこのままの政策を許容したことになる。雇用の流動化、非正規労働拡大を進めて賃金が上がらない国にした自民・公明・維新。年金が下がる仕組みを作った自民・公明・維新。これらに投票したら、より悪くなることは必至。雇用は破壊され、改憲・軍拡に走り、国民生活は塗炭の苦しみが続く。

 目指すべき方向は、賃金が上がり、年金も上がる国。最低賃金を1500円以上にし、正規労働を当たり前にする。憲法を生かし、専守防衛の平和国家のブランドを大切にして外交努力を優先する。そんなことを目指す立憲野党の躍進が大切だ。立憲民主・共産・社民・れいわ等が推しだ。立憲野党が束になって頑張ってほしい。弱いものがバラバラなのは、権力者の思うつぼ。

 

軍拡より災害救助隊整備・派遣を ~ アフガニスタンの地震に対して ~

 6月22日、アフガニスタン南東部で大きな地震があり、多数の死傷者が出た。被災地への交通が難路で、救助もままならないそうだ。こんな時、日本に災害救助隊が整備されていて、国境を越えて被災地に派遣されたら、どれだけ被災地の人々が助かるだろうと思う。

 ロシアによるウクライナ侵略が始まって4ヶ月が経過して、まだ激しい戦闘が続けられている。北朝鮮のミサイル実験や中国の軍拡もあり、ここぞとばかりに日本国内でも軍備増強や核共有論など、軍事一辺倒の大合唱が繰り広げられている。惨事便乗の単純な議論に危惧せざるを得ない。軍拡や軍事同盟強化が安全の保障にならないのは、歴史の教訓だ。二度にわたる世界大戦はいかにして起きたのか簡単に振り返ると、第一次大戦三国同盟三国協商の対立、第二次大戦は第一次大戦後の軍縮条約破棄から軍拡競争と軍事同盟強化の結果引き起こされた。軍拡は戦争準備の別名だから、結局戦争に突入する危険性が高い。

 ところが、災害に備えることを強化すると、災害が発生したとき、一人でも犠牲者を減らすことができる。これが軍拡と大いに違うところだ。そして、国内だけでなく、わけへだてなく外国の災害にも救助隊を派遣すれば、感謝され、友好と信頼が深まるはずだ。武器は人々を殺傷するものだが、救助隊は文字通り人の命を救うものだ。防災や救助の体制を増強する方が、近隣諸国を変に刺激せず、むしろ信頼感や安心感を醸成することになるではないか。軍拡より災害救助隊の整備・派遣が大切だと思う。