政権交代で国民の命を大切にする政治を取り戻そう

 案の定、自民党総裁選の報道が過熱している。しかし、立候補の経緯や誰が有利か、といったことに終始しており、肝心の国民の知りたいことに応えた報道になっていない。9年にわたる安倍・菅政権のやってきたことに対して、どのようなスタンスをとってきたのかが問われなければならない。そうすれば、どんなに良さそうなことを言っても、それが本当かどうかが分かる。予想される候補者はいずれも、安倍・菅政権を陰に陽に支えてきた人物だから、国政私物化、憲法違反のオンパレードといったことが改まるはずがない。

 このような状況を変えるにはどうすればよいのか。それは、野党が国民の声に応えて政権交代の旗を高く掲げることだ。憲法遵守、国民の命と生活が第一の旗印を明確にする政権構想を打ち出すことだ。自公の長期政権が、コロナ禍のもとで機能不全を起こしている。権力と利権の維持だけに汲々として、国民の願いに背を向け続けているから、有能な官僚もその能力が生かされず、国民のためにならない政策が打ち出されることになり、宝の持ち腐れになってしまっている。トップが変わり、国民のためになる政治をしよう、官僚の皆さんも知恵と力を出してくださいと頼めば、きっと応えてくれるはずだ。官僚だけでなく、当然、学者や有識者、市民も協力を惜しまない。公私混同をやめて、国民全体に奉仕する政治を取り戻す、この当たり前のことを実現しなければならない。

 そのためには、野党が小異を捨てて大同につくことが大切だ。お互いの違いを尊重し、リスペクトし合い、腹八分目の気持ちで政権交代のための大きな塊をつくってほしい。憲法を守り、国民の生活と命を大切にする、嘘をつかない、私物化しない、つまり、安倍・菅政権のやってきたことと真逆のことを旗印にすればよいのだと思う。自助をまっさきにかかげ、すべてを自己責任にしてしまう新自由主義をやめ、憲法に示された平和・国民主権・人権尊重の当たり前の政治を取り戻すことを、明確にすればよいのだ。これまでの悪政に苦しむ人々の心に火を灯し、諦めていた人々に元気を与える政権協議、政策協議を、胸襟を開いてやってほしい。

 そうすれば、報道機関も野党の目指すことを取り上げざるを得なくなり、総裁選一辺倒の報道にならずにすむはずだ。しかし、野党がまとまらず、あれこれの違いを理由に団結できなければ、国民は失望し、せっかくのチャンスは実らないと思う。政権交代のため、大同団結を野党には求めたい。いつまでも漁夫の利を自公に与えていてはならない。