猛烈な野党共闘攻撃は、共闘の効果があった証拠

 総選挙が終わった。やはり、1ヶ月に及ぶ洪水のような自民党総裁選挙報道の効果が現れ、議席を減らしたとはいえ自民党単独過半数を維持した。総裁選に比較して、野党4党と市民連合との政策合意の内容報道は、刺身のつま程度だったし、各党の主張や総選挙の争点報道も、たいしたことはなかった。維新は、吉村大阪府知事のテレビ露出と、にわかな自公批判ホーズが奏功し、4倍近い伸張を示した。立憲野党を弱いと貶め、権力者の言い分だけを無批判に垂れ流したマスコミの罪はまことに深い。

 そして、選挙後の猛烈な野党共闘攻撃の報道。これは何を意味するか。あれだけ自公と維新に有利な報道が展開されたにもかかわらず、よく選挙結果を見てみると野党共闘が奏功した選挙区が少なからずあった。自民党幹事長や元幹事長といった大物議員の落選はその如実な例である。これから野党が今回の反省点を踏まえ共闘が進化させ、来年夏の参議院選挙でその真価を発揮することを恐れているからである。国民に痛みを強い続ける自公の悪政は国民との矛盾を深めるし、維新もその自公の補完勢力どころか、改憲や不安定雇用の拡大をけしかける危険な勢力であることが明らかになり、失速することは時間の問題である。そんな中で、野党共闘が深化すれば参議院選挙でどうなるか、はっきりしている。だからこそ、伸び悩み動揺しているであろう野党とその支持者に、「共産党と組んだからだ」とお決まりの反共攻撃をしかけているのだ。とくにその攻撃のターゲットになっているのは、立憲民主党だ。連合会長からの揺さぶりも目に余る。枝野代表が辞意を表明し、代表戦が実施される。誰が新代表になられるのか不明だが、野党共闘成立の経緯や総選挙結果をつぶさに分析して、代表戦を行ってほしい。皮相で短絡的な結論を出してほしくない。選挙戦で不十分なところは多々あっただろう。私見では、市民と野党で合意した政策のアピールが弱かったと感じている。マスコミは権力者に追従していてあまりあてにならないのだから、自分たちで積極的に訴えることが必要だった。たとえば、4党首合同の記者会見を開催し、「安保や外交で立ち位置が違っていても大丈夫なのか」「政権交代で何を実現したいのか」などの疑問に、きちんと答える場があっても良かったのではないかと思う。

 ともあれ、立憲民主党の代表選に向けて、陰に陽に野党共闘を貶める攻撃がかけられることは間違いない。それは皮肉なことに、自公や維新が共闘効果を認めていることの裏返しである。効果がなかったのなら無視すれば良いのだから。それを、ことさら言い立てているのは、真実、野党共闘を恐れているからなのだ。であるとすれば、とるべき道は明白ではないだろうか。政権交代への努力は始まったばかりなのだ。