反共は野党共闘破壊の毒矢

 総選挙が始まった。野党共闘が成立し、与野党の対決構図が大多数の小選挙区で作られた。前回までは少数野党が分裂していたので、自公の圧勝を許した。その結果、政治は極端に劣化し、多数議席にあぐらをかいた、デタラメな政治の私物化が極まった。これを変革すべく、市民が「野党は共闘」と後押しした結果、ようやく成立したのが今回の野党共闘だ。これで、ようやく、多くの小選挙区で、与野党が接戦を展開することになりそうだ。

 これに恐れをなして、自公からは「共産党と組むなんておかしい」と立憲民主党を攻撃する動きが激化している。自民党の補完勢力である維新も同様の攻撃をしかけてきている。よほど、野党共闘が怖いと見える。確かに、分裂していた野党が候補者を一本化したのだから、毛利元就の三本の矢ではないが、自公にとって手強い相手に違いない。与党なのだから実績と政策論争で野党に勝てたらいいのだが、無為無策のコロナ対応をはじめ、政治の私物化など、スキャンダルのオンパレードだから、それは不可能ということで、最後の切り札としての共産党攻撃を繰り出してきたわけだ。

 しかし、現実をよく見たら分かるのだが、市民連合と野党の合意した共通政策の範囲内で、その政策を実行するための政権協力を限定的に共産党が閣外で行うというのが、立憲民主党共産党の合意なのだから、ケチのつけようがないわけだ。しかも、安保や外交で、政策の違うことを新政権に持ち込まないと共産党は約束しているのだから、大人の態度だといえる。というか、自民党公明党も、意見の相違はあっても、合意の範囲内で連立を組んでいるのだから、それが連立の常識と言える。

 こうして、なかなかケチがつけられないから、繰り返し使われてきた「反共攻撃」に乗り出したのだろう。ソ連や中国の強権・独裁政治を連想させ怖がらせ、つないだ手を切り離そうとしているのだろう。ところが、そのソ連や中国の強権・独裁政治を「共産主義の名に値しない」と厳しく批判してきたのが日本の共産党なのだから、これまた通用しない攻撃だ。幸いなことに、このような反共攻撃に与しない市民が増えてきていることは心強い動きだ。さまざまな媒体で、事実に基づき反共攻撃はダメと発信している方がいる。これまでの共産党の言動が信頼されてきたのだろう。ただ、一部に影響力があるのも確かだから、「反共は野党共闘破壊の毒矢」であることを軽視せず、攻撃がある度に、それは事実に反して自公の悪政を覆い隠す煙幕だということを伝えていきたいと思う。