維新の「身を切る改革」とは非正規雇用を維持拡大する隠れ蓑

 選挙戦で維新が「身を切る改革」を得意げに叫んでいる。曰く、「大阪では議員や首長、公務員の報酬やボーナスを、また議員や公務員を削減して財源を生み出した」と。

 しかし、これが住民に本当に求められている改革なのだろうか。派遣労働が解禁されて以降、ついに非正規雇用が労働者の40%にものぼり、多くの人々が低賃金にあえいでいる。だから議員や公務員の「報酬削減」や「定数削減」を実行すれば、維新があたかも低賃金労働者の味方であるかのように見える。ところが不思議なことに、低賃金の根っこの派遣労働を禁止し正規雇用が当然である社会にしようという政策は、維新からは出てこない。むしろ、公務員削減が度を超して公務現場が悲鳴を上げているのに人を増やさず、保健所やコロナ対策の給付金支給のための部署等にパソナなどの派遣業者から臨時に担当者を雇い、派遣業者を潤している。派遣労働者は、自治体の直接雇用なら中抜きされない賃金を受けられるのに、派遣だから派遣業者に何割もピンハネされた低い報酬しか受け取れない。この低賃金構造には決して手を触れようとしないのが維新なのだ。むしろ、「改革なくして成長なし」と叫び、雇用の一層の流動化を総選挙の公約としている。新自由主義の権化である維新が議席を増やせば、せっかく自公の議席が減っても、自公維の連立政権が誕生し、自公以上の悪政が展開されることまちがいない。落ち目の自公を批判するふりをして立憲野党に票が流れるのを阻止し、キャスティングボートを握り、大手ゼネコンや派遣業者のような既得権益者が、低賃金で労働者を酷使し、今後も「濡れ手で粟」のボロもうけができる体制を強固にするのが維新の本質だ。カジノや万博など、大型公共事業に固執する政策がそのことを如実に物語っている。

 「身を切る改革」で庶民の味方のふりをして、自公から離れる支持を集めようとしていることを見抜きたいものだ。