コロナ対策より住民投票が大切か?

 大阪府のコロナ重症患者が70人にも増加してきている。医療現場はさぞかし大変だろう拝察する。感染症対策の要である保健所を減らし続けた維新の会。所員の方々は業務をこなしきれず、ヘトヘトだろう。6月の小康状態の時、次の感染拡大を防ぐために、保健所や医療現場への補強、検査体制の拡充など、やるべきことをやず、住民投票をやりやすくするために、警報が出にくくなるように警戒区分をいじって、何かやっているふりだけをしていた知事。それを無批判に発信力があるなどと持ち上げた関西のマスメディア。

 今日、大阪府議会と大阪市議会が臨時開催され、大阪市を廃止する「都構想」の住民投票に向けての論議が始まったのだという。「この状況で」と思った人が多いだろう。賛成・反対の自由闊達な市民的議論が可能なら、まだ分からないでもないが、感染拡大防止に全力をあげないといけないときに、住民投票実施に向けての議論の開始とは、驚きだ。基準をいじって警戒警報が出にくくしてあるので、さも大丈夫なような錯覚に陥らされているが、医療現場の逼迫感は、相当なものだろう。府市民の感染症拡大防止は大丈夫なのかという心配も当然だ。

 また、既に可決されている協定書も、コロナ以前のものだ。コロナを経験した今、本当に大阪市を廃止してよいのか、本当に二重行政の無駄など存在するのか、あるべき地方行政のあり方など、じっくり考えるべきことが多々ある。そんな中に、「発信力がある」などと持ち上げられているうちに、住民投票をやってしまえとばかりに、せかすのは、ずるいと思う。

 今、議会で話し合うべきことは、感染拡大防止策ではないのか。府や市のとっている対応は正しいのか。住民の不安に本当に応えているのか。「大阪モデル」の是非も含めて真摯に話し合って、不安を取り除く施策を打ち出してほしい。